アップルに学ぶ”本当の付加価値”

社内改善

景気が良くなってくると、多くの企業経営者がメディアで言うワードがあります

「これからは商品に付加価値をつけていく」

と言うセリフ

聞いたことのある人もいるんじゃないでしょうか

ただ、この付加価値という単語

多くの日本人経営者は間違った認識をしてる人が多い気がします

間違った付加価値

経営者が商品に付加価値をつけようとするのは理由があります

付加価値をつけることで商品の価格を上げて、売り上げを最大化する

これに尽きるかと思います

ここで多くの経営者は、付加価値として機能をいっぱいつけようとします

例えば、家庭用の電話機を作ってる会社だったら、電話機にFAXをつけたり、留守電機能をつけたり、と言った具合です

とにかく機能や部品を多く付け足すことで、商品の単価を上げることに頭がいっぱいになります

確かに結果的には売上は上がるかもしれません

でも、冷静になって考えてみてください

そう言った付加価値をつけることは、ターゲットとするユーザ層を狭めることになります

機能を追加するたびに全ての機能を必要とするユーザは少なくなりますし、価格が上がるために客層も変わってしまうかもしれません

また機能を付け足すということはコストが上がることでもあります

+1のコスト増に対して、期待する売上増はせいぜい+1、もしくは+2程度です

これは単に商品を1個多く売って、1個分の売上が増えることにすぎません

もっと簡単に言ってしまえば「労力(コスト)が増えた分だけ売上が上がる」にすぎません

高いのに売れる商品たち

アップルというコンピューターの会社は付加価値をつけるのがうまい会社だと思います

多くの日本人経営者はあれを見本にするべきかもしれません

高いのになぜMacは売れるのか?

Macのパソコンは、Windowsのパソコンよりも価格が高いのによく売れます

例えばノートパソコンで考えてみましょう

レノボなんかのWindows10が入っている中華製ノートパソコンであれば、今時5万円もあれば買えてしまいます

一方でMacのノートパソコン(MacBook)は、同じようなサイズのものでも14万円はします

実に3倍近い価格差です

であるにも関わらず、人々がMacBookを買うのはなぜでしょうか?

「なんとなくオシャレだから」

「アップルのマークが可愛いから」

多くの人はその程度の理由です

多少の操作性の違いはありますが、特段Macの方が機能的に優れてることなんてありません

Windowsのパソコンでも多くの人が期待する機能や性能は十分に持ち合わせています

昔はMacの方が「デザイナー向けの描画ソフトが充実していた」時期があり、それが目当てでMacを買う人がいました

しかし現在のデザイナー向けソフトは、フォトショップにしろイラストレーターにしろ、ほとんどがAdobeから販売されているものばかりです

AdobeのソフトはWindowsにもMacにも両方対応していますから、その意味でMacを選ぶ必要性は無くなりました

高いのになぜスタバのコーヒーは売れるのか?

スターバックスのコーヒーにも同じことが言えます

スターバックスのコーヒーは、なんで高い価格設定にも関わらず売れるんでしょうか?

コーヒー好きの友人に言わせると確かに美味しいらしいです

でも、世の中には他にも美味しいコーヒーを出すお店はいっぱいあります

であるにも関わらず、人々がスタバのコーヒーを買うのはなぜでしょうか?

その一つの理由として、あのオシャレな容器、コップにあることは疑いようがありません

持ってるだけでハリウッド映画のオフィス系映画に出てきた主人公にでもなったかのような気分になれます

優れた付加価値とはブランディング

これこそが真の付加価値、ブランディングです

海外の空港に行くと、たまにMacBookをカバーも付けずに、ガサツにX線検査機に放り込む外人旅行客を見ることがあります

値段が高いからと言って、Macbookの外装は薄いアルミ素材です

特段、耐久性が高いわけでもありません

しかし彼らはその外装を見せびらかしたいわけです

だからカバーにもリュックにも入れずにわざわざ裸の状態で持ち歩きます

僕は今まで、MacBookに破損防止や保護用のケースをつけてる人を見たことがありません(WIndowsではたまに見かけますが)

MacBookはシルバーの外装に、白いリンゴマークがついてるのみのシンプルなデザインです

そこにMacBookの価値があるわけです

そしてユーザは、その価値のために値段の高いMacBookをわざわざ買うわけです

他人に見せびらかしたくなるほどのブランディング

これこそが日本の会社が目指すべき、商品につけるべき真の付加価値だと考えます

×の付加価値

機能を付け足す付加価値では+しか効果がありませんでした

単純に手間(コスト)をかけた分だけ売上が上がるだけです

ところがアップルのようなブランディングの付加価値は×の効果があります

1のコスト増によって、売上が3にも4にもなります

アメリカの会社はこういうブランディングが本当にうまいと感じます

ブランディングに成功すると価格競争をする必要がありません

ユーザは他社の製品より高くても買ってくれます

「商品に機能もコストを増やさない、けど、価格は下げない。それでもお客さんは確実に買ってくれる」

これこそが魔法の付加価値とも言える戦略です

一方で、日本の会社は良い製品を作ってるのにも関わらず、それをうまくPRしないがために世間に浸透しないケースをよく見ます

実にもったいないと思います

日本の企業の商品は付加価値としてのブランド戦略を取っていくことで、もっと魅力的で誰もが欲しがる商品になっていくんじゃないでしょうか