働いてたブラックIT企業を振り返りながらブラック企業の特徴をまとめてみた
僕は新卒で就職した会社がブラックIT企業でした
IT企業などというと聞こえはいいですが、実際にはIT技術者を派遣して儲ける人売り企業です
当時の2chではブラック企業のブラック度数を数値化して偏差値をつけていて、僕の働いていた会社はその上位4社に入ることからこう呼ばれてました
ブラックIT四天王
と。
僕が就職したその会社は、そのブラックIT四天王のうちの一社(の子会社)でした
2chのブラック偏差値は70を超えてたと思います
辞めたのは10年近く前の話です
記憶を頼りに話しますので、間違ってることもあるかもしれません
信じるか信じないかはあなた次第です
子会社の社員でも本体社員と全く同じ
僕が入社した会社はそのブラックIT四天王の子会社でした
本社の会社名があまりに悪い噂が立ったので、子会社を作りそこから採用活動をしていたようです
そんなことはつゆ知らず、僕はごく普通のシステム開発企業だと思って入社したのでした
ちなみに僕が入社した子会社の社長は、本社で取締役を務めている人でした
そんな感じの子会社が何社もあり、それぞれに本体の取締役が社長として務めていました
同期たちの入社した会社はそれぞれみんな異なりますが、結局集まるのは本体の会社であり、結局入り口が違うだけで合流する地点は同じでした
よく同期などと
「お前どこの会社(所属)?」
「俺は〇〇」
なんていう会話が社内では普通にありました
面接は1回だけ
ちなみに入社に際して行った面接は1回だけでした
それも人事部の人一人と1回だけです
普通、ちゃんとした企業は何回か面接があるものですが、ブラック企業は離職率が高いので気軽に入社できます
入社直後に感想文を提出
入社した直後に社長が書いた自伝のような本を読んで、感想文を提出させられました
確か原稿用紙何枚分といった指定もあったと思います
よく知りもしない社長のことを褒めちぎる文章を数ページにわたって書くわけです
おそらく社長自身が作った習慣ではなく、取締役が点数稼ぎのために始めたんじゃないかなーと想像します
ブラック企業ではこのような、直接仕事とは無関係の意味不明な作業がたびたび発生します
新人の給料は高い
これは意外に思われるかもしれませんが、ブラック企業のくせに新人の給料は比較的高めに設定されてました
給料が低いと人が採れないからか新人の給料は高く、確か当時月給25万円くらいありました
これに業績次第でボーナスがつくので、業績が良いと給料はそれなりに貰えます(あくまで業績が良ければ)
全体的な給料イメージでは、課長くらいで年収800万円、部長で1000万円くらいだったように思います(あくまで業績が良ければ)
残業代は原資があればもらえる
当然IT系なので案件によっては残業も発生しますが、残業代が払われるかどうかは原資があるかどうかで変わってきます
「原資」という言葉は上司が残業代を払えないときにしょっちゅう口にしてたセリフですが、その正体は最後までよくわかりませんでした
当時の体験からすると、余ったお金くらいの感覚でした
おそらく部署単位で利益が一定以上あれば付く予算みたいなものだったんでしょう
僕が当時いた部署で、過去最高益と呼ばれた時は月5万円くらいを上限に払われていました(基本的には無い)
スーツ(白シャツ)強制・長髪茶髪禁止
社員は本社勤務だろうと派遣先だろうが、必ずスーツが強制でした
しかもシャツは白のみで青やピンクなどは許されません
髪型も男は黒色で短くすること、などという決まりがあり、茶髪とかはもってのほかでした
ちなみにこれらの規則は数多くあって、違反すると上司に呼び出されて詰められることになります
資格取得は強制
社員は全員、年2回ある基本情報・応用情報技術者試験という試験を受けることが強制されます(合格するまで)
受験費用(5700円)は勝手に給料から天引きされますし、たびたび仕事が終わった後に社内で模擬試験を受けることが強制されます(もちろん残業手当はつかない)
しかしだからと言って、業務時間中に勉強することは許されません
資格取得は仕事では無いからです
仕事ではないのに強制されるんです
このように仕事ではないのに強制されることが他にも数多くありました
その典型的な例が飲み会です
全ての飲み会は自腹の強制参加
ブラック企業というのは不思議なもので、飲み会が大好きです
忘年会や新年会などの節目には必ず飲み会が行われますが、その参加は全て強制です
もちろん仕事が終わった後に開催されるわけで、支払いは全て割り勘です
面白くもない先輩社員や上司と話をしたり、時には説教をされたりするのに、一回あたり5千円とかを払うわけです
しかもある程度の人数が入られる居酒屋となると新宿などの都市部であることが多く、料理は残飯に毛が生えた程度
本当にこの会社の飲み会は地獄でしたね
社長
一般の社員が社長に会える機会は数少ないのですが、たまに本社で見かけることはありました
小太りで牛乳瓶みたいなメガネをかけてました
会社から徒歩5分の社長しか入れない社員寮に住んでいて、そこには絵画などの美術品も多数あったようです
こういったブラック企業は社長がワンマンで特徴的なことが多く、僕の入社したブラック会社でもいろんな噂がありました
子供は1ダース
噂によると社長の子供は1ダース(12人)いたらしく、そのうちの何人かは自分の会社に入社していたようです
社長の年収は12億?
これは本当かどうかわかりませんが、長者番付制度があった当時、上位に名前が載っていたようです
また、僕が入社した当時でも年収は12億円はあると噂されていました
本当かどうかはわかりませんが、ビルや土地、絵画などの資産は多く所有していたようです
社内に愛人専用部屋
営業の人に聞いた話ですが、平日の真昼間から愛人を社内に連れ込んでいたそうです
また、会社には社長だけが入れる愛人部屋があり、平日に社員が仕事をしてる時間帯にもかかわらず、そこで何かしていたようです
営業車はレクサスLS460
社長が乗る営業車は当時レクサスが発表したばかりのLS460でした
当時の価格で1千万円を超える高級車です
しかしこのLSに乗れるのは社長か取締役クラスと同乗する営業のみです
手信号を強要される
これも社長の営業車を運転していた営業の人に聞いた話ですが、なぜか運転中には手信号を強制させられていたとのことです
ウインカーがついてるにもかかわらず、窓から手を出して「左に曲がります」なんてことを合図するわけです
晴れの日はいいらしいのですが、雨の日だとスーツが片腕だけシワシワになるといってました
プログラムを書いたことがない先輩社員
当時はガラケー全盛期で、この会社は携帯案件が多く、特にガラケーの評価は柱の事業でした
評価と言えば聞こえはいいんですが、ただ仕様書の通りに携帯をぽちぽちとボタンを押して、
電話がちゃんとかかるか、とか、メールは送れるかみたいなことをチェックするのみで、大した技術はつきません
当時の僕の先輩で入社6年目の人がいましたが、彼は全くプログラムには触ったことがないと言っていました
この手の人は本当に不運だと思います
いざ転職しようと思っても、携帯をぽちぽちしていたくらいで大した経歴がありませんから辞めるにも不利です
そのくせ、会社の業績が悪くなって社員が重しになってくると、その社員を責め立てていました
このようにブラック企業は自分の都合の良いように社員を使い、いらなくなったら切り捨てます
社員の引き留めやリストラは日常的
景気の良い時は社員が辞めたいと言っても、引き留めを行ってました
「今月で会社を辞めたいんです」
などと課長に相談しても、
「あー、今月はもう退職枠埋まってるから、来月にして」
なんてよく言われていました
一つの課から退職できる人数は1ヶ月に3人までなどと決められていました
儲かってるときは離職率が高いと上司が社長から責め立てられるので、制限を設けていました
社員側の意思を全く無視した制度です
なので辞める人が多い月は、順番待ちしないと辞められません
一方で業績が悪い時は、課長によるリストラまがいなこともやってました
「お前、この仕事に向いてないんじゃないの?」
「もっと他にいい仕事あるよ?」
「次の試験で受からなかったらどうする?」
なんて言葉をターゲットにした社員に浴びせかけるんです
基本的にこの会社の部課長クラスは社員のことを「お前」と呼びますが、
こんな感じで退職を促していました
リストラすると会社都合になってしまい都合が悪いので、あくまで自主退職に追い込むわけです
よくやる手段としては資格取得です
「お前、○○の資格を△△までに取得しとけ」
といきなり言われます
そしてその資格が取得できないと自主退職を勧められます
会社としては資格の取得自体は正直どうでもよくて、退職させる口実に使っていました
社員は人ではなく商品
IT企業などというと聞こえはいいかもしれませんが、実態はただのシステム開発者を派遣する人売りです
SESはエンジニアを客先に派遣して利ざやを稼ぐ業種ですが、僕がいた当時の会社も社員を人ではなく商品として扱ってました
例えば、案件についてない社員は社内で「未オーダー」と呼ばれていました
オーダー(注文)がない社員と言う意味です
社内では完全に「社内ニート」と同じ扱いです
また、部課長は常に
「先月の稼働率が○パーセントで、」
などという言葉をたびたび口にしますが、稼働率とは社員が案件にありついてるかを示す数字です
例えば7割の社員が案件についていたら稼働率は70%となります
このように人間(社員)を、まるで機械であるかのように語るのが普通となってました
商品には所詮何も言う資格はなく、黙って与えられた仕事こなすだけで面白みもへったくれもありません
所属部がコロコロ変わる
基本的にシステム事業部が案件ごとに分かれていて、例えば第1システム事業部はカーナビ・形態などの組み込み系
第2システム事業部はWebシステム系など
社員は案件が空き次第、次の案件にアサインされますが、空きがあるところに割り当てられる傾向が強いため、所属する事業部がコロコロと変わりました
例えば今の案件が第3事業部だとしても、次の案件は第7だった、なんてのはザラですし、その事自体が社員に告知されないので一体自分は会社のどの事業部の仕事をしてるのかさっぱりわからないことも多かったです
技術がつくかどうかは案件や自分次第
プログラミングなどの技術が身につくかどうかは案件や自分次第の部分が多かったです
上司からスキルが低いと判断されると、本当にどうしようも無い仕事にアサインされることもあります
中学生でもできそうな試験とかを延々とやらされることもありました
新人研修
新人は入社するとすぐに新人研修に送り出されます
1泊2日の新人研修で、期間中はびっしりとしたスケジュールが泊まり込みで行われます
早朝からテニスコートを使って大声で会社に忠誠を尽くす文章を大声で発生します
研修系コンサル会社が企画したようなグループワークなどもありましたが、正直やることを詰め込みすぎていてよく覚えてません
毎年新人を数百名単位で採用
当時のこの会社は、毎年新人を500人〜1000人の単位で採用してましたが、だからと言って全体の社員数はそれほど増えませんでした
退職する社員も相当数いたからです
確か多くの社員は3年以内に半分以下になっていたと思います
多重派遣・残業未払い・パワハラ・セクハラなどはあたりまえ
多分もう罪の意識すらないのかもしれませんが、社内では違法行為なんてあたりまえでした
なぜかわかりませんが、こういうブラック企業って社内ではパワハラやセクハラが当たり前のようにあります
残業代を払わないなんてのも朝飯前です
一時期あまりに残業代を払わないので、多くの苦情を受けた労基から指導を受けて渋々残業代を払ってたこともありました
このように労基から指導を受けるなんてのも日常茶飯事でした
月の残業時間が100時間を超えてるのに一切残業代が支払われない先輩もいましたが完全に目が死んでました
iso9001はブラック企業でも取得できる
当時のこの会社はiso9001を取得しており、ブラック企業でも基準さえ満たせば取得できることに驚きました
表向きだけ取得できれば営業に役立つのか、一時限りの対応をやらされた気がします
社内のコミュニケーションは全て監視されてる
社内のPCを介したメールなどは全て業務部と言う間接部門が監視していました
主な目的は2chなどに悪口を書くことへの監視だったようですが、中には三角関係の男女が社内でメールのやりとりしていたところ、
そこへ間接部門から連絡を受けた課長がやってきて、
「どっちの人にするのかはっきりしろ」
と言った、というエピソードを聞いたことがあります
つまり社内のメールのやりとりなども全て監視の対象だったわけです
本社ビルの天井には、全てのフロアで監視カメラが数多く取り付けられていました
ブラック企業の経営者は社員を監視するのが好きなようです
ちゃんと社員が働いているかどうかを信用してないのかもしれません
業務部が異常に力を持っている
業務部の役員が社長へのごますりで非常に社内で権力を持っていて、事業部の足を引っ張ることばかりしていた印象がありました
例えば、定時過ぎたら社員に仕事をやめさせるために会社にある全PCにpingを飛ばしてチェックします
もしそのチェックに引っかかると、その部門の課長が怒られるため、定時過ぎて作業するにはPCからLANケーブルを抜くように指示されていました
社員はひじ掛け付き椅子禁止
社内にあるのは通常ひじ掛けなしの椅子だけなんですがたまにフロアによってはひじ掛け付きの椅子もありました
役員が来る時はひじ掛け付きの椅子に一般社員が座ってると怒られるため、ひじ掛けなしの椅子に交換しなければいけませんでした
ブラック企業はこういうどうでも良いようなところに神経を使うことが求められます
まとめ
見る人が見れば、どの会社かわかってしまう内容だったかもしれませんが、もうかなりの年月が経ってますしそろそろ良いかなと思って思い出しながら書いてみました
こういった経験から、自分は学生にエンジニアとしてSESや特定派遣を行ってる会社に就職することはお勧めしてません
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